エンタープライズセールス
エンタープライズセールス | 失注を防ぐ“リスクチェック”

エンタープライズ営業において、案件の遅延(スリップ)や失注を防ぐには、リスク要因を初期段階で特定し対応策を講じる「リスクチェック」が不可欠です。本記事では、案件リスクの2大要因である「blocker(反対者)」と「競合」を体系的に洗い出し、アクションプランに落とし込むための実践フレームワークを解説します。
リスクチェックとは何か
定義と目的
リスクチェックとは、案件の受注時期の遅延(スリップ)や失注を最小限に抑えるための事前特定・対応プロセスです。
案件が失敗する可能性のある要素を初期段階で明確に特定し、その対応策をアクションプランに組み込むことで、予測可能な営業活動を実現します。とりわけエンタープライズ営業では、DMU(意思決定関与者)の構造把握とパワーチャートによる関係性の可視化が、リスクの早期発見に直結します。
リスクチェックが重要な3つの理由
案件リスクの2大要因
エンタープライズ営業において、案件を失注させる主なリスク要因は以下の2つに集約されます。
本記事では、この2つのリスク要因を体系的に洗い出し、対応策をアクションプランに落とし込む方法を解説します。
リスクチェックの実施プロセス
リスクチェックは、以下の4ステップで実施します。
ステップ1:リスクの洗い出し
blocker(反対者)の洗い出し
B2Bソリューションの購買決定には平均6〜7人のステークホルダーが関与します。意思決定者だけでなく、影響者・評価者・阻害者を含むDMU全体をパワーチャートで可視化しておくことが重要です。全員が導入に賛成しているケースは稀であり、反対者の存在を見落とすと最終段階で案件が頓挫します。
blockerを特定するための質問
「今回の導入について、社内で懸念を示されている方はいらっしゃいますか?」
「過去に同様のプロジェクトが見送りになったことはありますか?その理由は?」
「最終決定までに、どの部門の合意が必要ですか?」
blockerの4つの類型
競合の洗い出し
競合が検討に残っている状態は、価格競争や不利な評価軸での比較に巻き込まれるリスクを意味します。
競合を特定するための質問
「他にご検討されているソリューションはありますか?」
「今回の選定で、何社程度を比較される予定ですか?」
「過去に導入を検討されたソリューションはありますか?」
競合情報の収集ポイント
ステップ2:リスクの評価
洗い出したリスクを「影響度」と「発生可能性」の2軸で評価し、優先順位をつけます。
リスク評価マトリクス
評価の判断基準
blockerの影響度
競合の影響度
ステップ3:対応策の策定
blockerへの対応策
blocker対応の基本原則
説得ではなく、懸念の解消を目指す
正当な懸念には提案内容の修正で対応する
直接対峙せず、社内推進者を通じたアプローチを優先する
競合への対応策
競合対応の基本原則
競合の批判ではなく、自社の価値訴求に集中する
検証項目と評価基準を事前に顧客と合意し、有利な土俵を設定する
競合情報は継続的にアップデートする
ステップ4:アクションプランへの組み込み
抽象的なリスク対応を具体的なタスクに変換する
リスク対応策は「誰が」「何を」「いつまでに」の形で具体化しなければ実行されません。
変換の例
リスク対応を組み込んだアクションプラン例
リスクチェックのタイミングと頻度
リスクチェックは一度実施して終わりではなく、案件の進捗に応じて継続的に行う必要があります。
まとめ:リスクチェックで案件をコントロールする
リスクチェックを怠ることは、海図に岩礁の位置を書き込まずに出航するようなものです。blockerと競合という2大リスク要因を事前に特定し、対応策をアクションプランに組み込むことで、案件を確実に受注へと導くことができます。パワーチャートでDMUの力学を常に更新し、意思決定者の変化を見逃さない仕組みを持つことが、リスクチェックの精度をさらに高めます。
リスクチェック実践のポイント
エンタープライズ営業では、案件の成否は「運」ではなく「準備」で決まります。リスクチェックを習慣化することで、予測可能で再現性の高い営業活動を実現してください。
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