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エンタープライズセールス | 失注を防ぐ“リスクチェック”

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エンタープライズセールス | 失注を防ぐ“リスクチェック”

エンタープライズ営業において、案件の遅延(スリップ)や失注を防ぐには、リスク要因を初期段階で特定し対応策を講じる「リスクチェック」が不可欠です。本記事では、案件リスクの2大要因である「blocker(反対者)」と「競合」を体系的に洗い出し、アクションプランに落とし込むための実践フレームワークを解説します。


リスクチェックとは何か

定義と目的

リスクチェックとは、案件の受注時期の遅延(スリップ)や失注を最小限に抑えるための事前特定・対応プロセスです。

案件が失敗する可能性のある要素を初期段階で明確に特定し、その対応策をアクションプランに組み込むことで、予測可能な営業活動を実現します。とりわけエンタープライズ営業では、DMU(意思決定関与者)の構造把握とパワーチャートによる関係性の可視化が、リスクの早期発見に直結します。

リスクチェックが重要な3つの理由

理由 内容
1. フォーキャスト精度の向上 案件の進捗を正確に予測し、売上見込みの信頼性を高められる
2. 営業リソースの最適化 成約可能性の低い案件への時間投資を早期に回避できる
3. チーム連携の強化 リスク情報を共有することで、関係者全員が同じ認識で動ける

案件リスクの2大要因

エンタープライズ営業において、案件を失注させる主なリスク要因は以下の2つに集約されます。

リスク要因 概要 発生する問題
blocker(反対者) 導入に反対する社内ステークホルダー 最終段階での案件停滞、ひっくり返し
競合 同時に検討されている他社ソリューション 価格競争、不利な評価軸での比較

本記事では、この2つのリスク要因を体系的に洗い出し、対応策をアクションプランに落とし込む方法を解説します。


リスクチェックの実施プロセス

リスクチェックは、以下の4ステップで実施します。

ステップ 内容
1. リスクの洗い出し blocker・競合の存在を特定する
2. リスクの評価 各リスクの影響度と発生可能性を評価する
3. 対応策の策定 リスクごとに具体的な対応策を決定する
4. アクションプランへの組み込み 対応策を「誰が・何を・いつまでに」の形でタスク化する

ステップ1:リスクの洗い出し

blocker(反対者)の洗い出し

B2Bソリューションの購買決定には平均6〜7人のステークホルダーが関与します。意思決定者だけでなく、影響者・評価者・阻害者を含むDMU全体をパワーチャートで可視化しておくことが重要です。全員が導入に賛成しているケースは稀であり、反対者の存在を見落とすと最終段階で案件が頓挫します。

blockerを特定するための質問

  • 「今回の導入について、社内で懸念を示されている方はいらっしゃいますか?」

  • 「過去に同様のプロジェクトが見送りになったことはありますか?その理由は?」

  • 「最終決定までに、どの部門の合意が必要ですか?」

blockerの4つの類型

類型 特徴
競合支持者 他社製品・サービスの支持者として活動している
予算重視型 コスト面での懸念から反対している
現状維持派 変化へのリスクを懸念し、導入に消極的
影の反対者 表面上は中立だが、裏で反対活動を行う

競合の洗い出し

競合が検討に残っている状態は、価格競争や不利な評価軸での比較に巻き込まれるリスクを意味します。

競合を特定するための質問

  • 「他にご検討されているソリューションはありますか?」

  • 「今回の選定で、何社程度を比較される予定ですか?」

  • 「過去に導入を検討されたソリューションはありますか?」

競合情報の収集ポイント

収集項目 情報源
競合の製品・価格情報 公式サイト、プレスリリース、展示会
競合の評判・弱点 レビューサイト
顧客内での競合の立ち位置 顧客へのヒアリング

ステップ2:リスクの評価

洗い出したリスクを「影響度」と「発生可能性」の2軸で評価し、優先順位をつけます。

リスク評価マトリクス

発生可能性:低 発生可能性:中 発生可能性:高
影響度:高 要注意 重点対応 最優先対応
影響度:中 経過観察 要注意 重点対応
影響度:低 許容 経過観察 要注意

評価の判断基準

blockerの影響度

影響度 判断基準
決裁ラインに直接関与する、または決裁者に強い影響力を持つ
評価プロセスに関与するが、決裁権限はない
導入後のユーザーだが、選定プロセスには関与しない

競合の影響度

影響度 判断基準
顧客が競合を本命視している、または過去に取引実績がある
比較対象として検討されているが、明確な優位性はない
形式的に比較されているだけで、実質的な脅威ではない

ステップ3:対応策の策定

blockerへの対応策

blocker類型 対応策
競合支持者 支持理由を調査し、自社の差別化ポイントで上回る提案を行う
予算重視型 長期ROIと総所有コスト(TCO)の観点で投資対効果を提示する
現状維持派 導入による業務負荷軽減と、同業他社の成功事例を提示する
影の反対者 社内推進者を通じて懸念事項を把握し、間接的に対応する

blocker対応の基本原則

  • 説得ではなく、懸念の解消を目指す

  • 正当な懸念には提案内容の修正で対応する

  • 直接対峙せず、社内推進者を通じたアプローチを優先する

競合への対応策

競合の状況 対応策
顧客が競合を本命視 顧客の課題認識を再定義し、自社有利な評価軸を提案する
機能・価格で劣位 導入後のサポート体制や長期的なパートナーシップを訴求する
競合の弱点が明確 検証イベント(PoC)で弱点が露呈する評価項目を設定する

競合対応の基本原則

  • 競合の批判ではなく、自社の価値訴求に集中する

  • 検証項目と評価基準を事前に顧客と合意し、有利な土俵を設定する

  • 競合情報は継続的にアップデートする


ステップ4:アクションプランへの組み込み

抽象的なリスク対応を具体的なタスクに変換する

リスク対応策は「誰が」「何を」「いつまでに」の形で具体化しなければ実行されません。

変換の例

抽象的な対応策 具体的なタスク
blockerの懸念を解消する 1/18までに、IT部門長との個別面談を設定し、セキュリティ要件への対応を説明する
競合との差別化を図る 1/25までに、競合比較資料を作成し、顧客の評価担当者に提示する
検証イベントを有利に進める 検証開始前に、成功基準と評価方法を文書化し、顧客と合意する

リスク対応を組み込んだアクションプラン例

日付 アクション 担当 リスク対応
1/10キックオフミーティング両社-
1/15技術要件の確認顧客IT部門-
1/18IT部門長との個別面談自社営業blocker対応
1/20検証環境構築自社SE-
1/22検証の成功基準・評価方法の合意両社競合対応
1/25競合比較資料の提示自社営業競合対応
1/26-2/9検証実施期間両社-
2/12検証結果レビュー両社-
2/15決裁者向けROI説明両社-
2/20契約条件交渉法務・調達-
2/28契約締結両社-

リスクチェックのタイミングと頻度

リスクチェックは一度実施して終わりではなく、案件の進捗に応じて継続的に行う必要があります。

タイミング 実施内容
案件化時 初期リスクの洗い出しと評価
提案前 blocker・競合の最新状況確認
検証イベント前 評価基準の合意状況、競合の動向確認
クロージング前 残存リスクの最終確認、契約プロセス上の障害確認

まとめ:リスクチェックで案件をコントロールする

リスクチェックを怠ることは、海図に岩礁の位置を書き込まずに出航するようなものです。blockerと競合という2大リスク要因を事前に特定し、対応策をアクションプランに組み込むことで、案件を確実に受注へと導くことができます。パワーチャートでDMUの力学を常に更新し、意思決定者の変化を見逃さない仕組みを持つことが、リスクチェックの精度をさらに高めます。

リスクチェック実践のポイント

ポイント 内容
1. 早期に洗い出す 案件化の段階でblockerと競合を特定する
2. 影響度で優先順位をつける すべてのリスクに同じ労力をかけない
3. 対応策を具体化する 「誰が・何を・いつまでに」の形でタスク化する
4. 継続的に更新する 案件進捗に応じてリスク状況を再評価する
5. アクションプランに明示する リスク対応タスクを通常タスクと同列で管理する

エンタープライズ営業では、案件の成否は「運」ではなく「準備」で決まります。リスクチェックを習慣化することで、予測可能で再現性の高い営業活動を実現してください。

→エンタープライズ営業を推進させるPath Lightとは

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