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エンタープライズセールスで「社内が騒然とする大型案件」を獲得する方法

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エンタープライズセールスで「社内が騒然とする大型案件」を獲得する方法

営業チームで年に一度あるかどうかの大型案件は、機能比較から始まるボトムアップ型ではなく、経営層の意思決定で動く「ビジョン先行型トップダウン案件」から生まれます。この案件を獲得するカギは、財務指標よりも「社内で変革を起こしたがっているエグゼクティブ」の存在を見極めることです。本記事では、大型案件が生まれる条件と、キーパーソンの特徴について解説します。

👉関連記事:エンタープライズセールスで大型案件を受注に導く提案設計の技術


大型案件の「本当の価値」とは何か

エンタープライズセールスにおいて、いわゆる「大型案件」は営業パーソンにとって特別な存在です。SaaS業界であれば年間契約で1億円を超えると注目を集め、5億、10億ともなればグローバル本社からも脚光を浴びるレベルになります。

一発で年間目標を大幅に超え、社内で一躍注目される。インセンティブも大きく跳ね上がる。まさに営業パーソンにとっての「夢」といえるでしょう。

ただし、大型案件には大きく2つのタイプがあることを理解しておく必要があります。

案件タイプ 特徴 競争環境
既存顧客の拡大案件 グループ全体への横展開など、予測可能な成長型 競合少なく、誰が担当しても受注しやすい
突発的な新規大型案件 外から見ると「なぜ取れた?」と思われる案件 再現性が低く、ロジックだけでは説明できない

本記事で取り上げるのは後者、つまり「社内がざわつくような」大型案件です。関係者に理由を聞いても「タイミングですね」としか答えが返ってこない類の商談。この種の案件には、ある共通した特徴があります。


大型案件の正体は「ビジョン先行型トップダウン案件」

結論から言えば、社内がざわつくような大型案件の多くは「ビジョン先行型のトップダウン案件」です。

これは、経営層や事業責任者クラスが「この変革を実行する」と決断し、細かい機能比較を飛ばして、ビジョンとロードマップだけで大きな投資判断を下すタイプの商談を指します。

一方で、現場担当者が「A社とB社、どちらの製品がスペック的に優れていますか?」という問いから始まる案件は「機能先行型のボトムアップ案件」と呼ばれます。

両者の違いを整理すると、以下のようになります。

項目 ビジョン先行型
(トップダウン)
機能先行型
(ボトムアップ)
起点 経営層の課題意識・変革意欲 現場担当者の機能要件
意思決定 トップの一声で進む 比較表・マルバツ評価を経て決定
競合状況 競合が入りにくい RFP形式で3〜5社が競合
価格交渉 価値ベースで議論 価格勝負になりやすい

ボトムアップ型が悪いわけではありません。現場起点で始まり、数億規模に育つケースもあります。しかし、「なぜあの案件が取れた?」と社内が騒然となる商談は、トップダウンで決まることが圧倒的に多いのです。


大型案件が生まれる「土壌」を見極める

では、ビジョン先行型のトップダウン案件は、どのような企業から生まれるのでしょうか。

まず思い浮かぶのは「業績好調で投資意欲の高い会社」でしょう。確かに、財務的余裕がある企業は投資判断が早い傾向にあります。

しかし、「儲かっている会社=大型案件が取れる」とは限りません。

業績好調な企業は、すでにIT投資が一巡していたり、主要領域には既存ベンダーが入り込んでいるケースも少なくありません。逆に、業績悪化に苦しむ企業が、起死回生を狙って既存システムを刷新し、大胆な投資に踏み切ることもあります。

つまり、IR資料や財務指標を見ただけでは、大型案件の可能性を正確に測ることはできません。

重要なのは、財務状況よりも「社内に変革の風が吹いているか」という現場の温度感です。

  • 経営層に新しいビジョンを掲げるリーダーがいるか

  • 組織全体で「何かを変えなければ」という空気があるか

  • DXや業務改革といったテーマが経営アジェンダに上がっているか

これらは公開情報だけでは見えません。直接足を運び、会話を重ねる中で感じ取るしかないのです。


キーパーソンは「派手な意思決定を好むエグゼクティブ」

大型案件が生まれるかどうかを左右する最大の要因は、「派手好きキーマン」の存在です。

会社の業績よりも、結局は「人」が重要です。中長期の視点で変革を仕掛けたい、外から見ても注目されるような取り組みを実行したい。そうしたモチベーションを持つキーパーソンがいると、大きな商談が生まれやすくなります。

派手好きキーマンに多い傾向:

  • 創業社長:会社を成長させるビジョンを持ち、トップダウンで物事を進める力がある

  • プロ経営者(外部招聘の社長・役員):就任後の成果を示したいプレッシャーがあり、インパクトのある取り組みを志向する

  • プロ役員(CIO、CMO、CDOなど):自分のキャリアを「作品」として磨いており、実績づくりに意欲的

特にプロ役員タイプは、自身の経歴にプロジェクト実績を加えることに熱心で、プレスリリースや講演登壇まで見据えて動くことがあります。「これは自分のブランディングになる」と感じた瞬間に、社内を剛腕で動かしていくのです。

もう一つの典型パターン:「前職での導入経験者」

キーパーソンが前職で自社製品を使っていた場合、転職後に「また使いたい」と言い出し、その一声で全社導入が決まることがあります。前職での成功体験をベースに、周囲を巻き込みながら社内を動かすパワーがあるためです。

こうしたキーマンは、権限と政治力を併せ持っていることが多く、トップを動かす力、関係部署をまとめる力を持っています。慎重派の役員をうまくあしらいながら、プロジェクトを「やったもん勝ち」で進めるしたたかさも備えています。


なぜ「タイミング」が重要なのか

ここまで読んでいただいた方は、「そうしたキーパーソンを見つければ大型案件が取れる」と思われたかもしれません。

しかし、現実はそう単純ではありません。大型案件の多くは「運」と「タイミング」に左右される部分が大きいのです。

営業がコントロールできる範囲は、想像以上に狭い。

いくら営業が攻めても、その会社に「変革の風」が吹いていなければ、大型案件は生まれません。営業にできるのは、その風が吹き始めたタイミングで「背中を押す」ことだけです。

したがって、大型案件を狙ううえで最も重要なのは以下の2点です。

  1. 「風が吹きそうな会社」を見つけること:キーパーソンの存在、組織の変革意欲、経営アジェンダの変化などを察知する

  2. 「風が吹いた瞬間」を逃さないこと:変革が動き出した兆候をキャッチし、即座にアクションを取る

数年に一度しか訪れない「神風」が吹いた瞬間、それを逃さず掴めるかどうか。これが大型案件を獲得する営業と、そうでない営業の分かれ目です。


まとめ:大型案件獲得に向けた3つのポイント

ポイント 内容
1. 案件タイプを見極める 機能比較から始まるボトムアップ型ではなく、トップの意思決定で動くビジョン先行型を狙う
2. 財務より「風」を読む IR資料の数字より、社内で変革が起きそうな気配を現場で感じ取る
3. キーパーソンを見つける 派手な意思決定を好むエグゼクティブ、前職で自社製品を使った経験者などに注目する

大型案件の獲得は、再現性のある「科学」というより、タイミングと人との出会いに依存する「アート」の要素が強いといえます。

しかし、どのような条件のときに大型案件が生まれやすいかを理解しておけば、神風が吹いた瞬間に乗る確率は格段に上がります。

次回は、キーパーソンに「刺さる提案」をどう作るか、ビジョンを描いたプレゼンテーションのポイントについて解説します。

→エンタープライズ営業を推進させるPathLightとは

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