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エンタープライズ営業における顧客組織の理解とその方法を解説

エンタープライズ営業では、顧客組織の理解と調査が欠かせません。業界特有の課題や顧客のビジネスモデル、組織構造を把握し、彼らが直面する問題を深く理解することで、受注率を向上させることができます。この記事では、顧客組織を深く理解し、調査するための重要性と具体的な方法について掘り下げていきます。
- なぜエンタープライズ営業において顧客組織の理解と調査が必要なのか
- 効率的にステークホルダーと接点を持てる
- カスタマイズされた提案が可能になり、提案の質が上がる
- 人間関係の構築を行い、効率的に営業できる
- 顧客組織の調査方法
- Webで公開されている業界・市場レポートの調査・分析
- 公式WebサイトとSNSの確認
- 既存の顧客や業界関係者へのインタビュー
- 顧客の組織図作成
- 商談など接点づくりのチャネル検討
- 顧問や担当者への個別インタビューヒアリング内容
- 特定企業のビジネスの目標と戦略、課題
- 組織のステークホルダー、購買プロセス、接点を作りやすいチャネル
- 予算と投資の優先順位、投資対効果の算出方法
- 紹介可能なステークホルダーの確認
- まとめ
なぜエンタープライズ営業において顧客組織の理解と調査が必要なのか
効率的にステークホルダーと接点を持てる
組織内で異なる役割を持つステークホルダーと効率的に接点を持つためには、それぞれの関係性を深く理解し、個別アプローチを計画する必要があります。
ビジネスを行う組織と言っても、人で形成される組織です。組織内には、ミッションの違い、利害関係、好みや派閥といった多岐にわたる要素が存在します。これらを適切に理解することで、攻略ルートを効果的に設計することが可能になります。
特に重要なのは、推進者や決裁者へのアクセス方法です。適切なタイミングとチャネルを見極めることができれば、営業活動を無駄なく、効率的に進めることができます。組織の正確な構造と意思決定プロセスを把握することは、推進者や決裁者と効果的に接点を築くために不可欠です。
カスタマイズされた提案が可能になり、提案の質が上がる
顧客の組織内では、ステークホルダーごとに独自のミッションや課題を持っています。例えば、事業責任者は利益率の向上を追求する一方で、情報システムの責任者はセキュリティ強化を最優先に考えていることがあります。このような背景から、顧客組織を理解し、それぞれのニーズに対応した提案を行うことが重要です。
このようなカスタマイズされた提案は、初回の接触時から顧客に強い印象を与えることができます。ステークホルダーは常に多忙であり、初回での印象が悪いとすぐに見切りをつけられてしまうこともあります。そのため、初回の接点での提案の質は、営業活動の成否を左右する重要な要素となるのです。
人間関係の構築を行い、効率的に営業できる
エンタープライズ営業において、カスタマイズされた提案だけではなく、人間関係の構築もまた、目的の達成に不可欠な要素です。日本のビジネスシーン、特に終身雇用の文化が根付くエンタープライズ企業においては、人間関係が大きな影響を及ぼします。
営業活動を進めていくためには、相手組織を深く理解する必要があります。これには、組織構造、ステークホルダーの関心事や背景、そして組織内の人間関係に至るまで、幅広い情報が必要になります。この情報を集める一つの方法は、企業出身の顧問や担当者にインタビューを実施することです。また、イベント参加や会食を通じて、顧客との接点を持つことも効果的です。
このように、さまざまな場所で顧客と接点を持ち情報収集をすることで、商談に限定して営業するよりも効率的に受注できることが多々あります。
顧客組織の調査方法
エンタープライズ営業における成果を高めるためには、顧客や業界の深い理解が不可欠です。ここでは、顧客組織の調査方法について解説いたします。
Webで公開されている業界・市場レポートの調査・分析
エンタープライズ営業を行ううえで、まず重要なのは、業界全体の動向を把握することです。Web上で公開されている業界レポートや市場分析を活用して、以下の情報を収集し、ターゲット顧客がどのような状態でどのような戦略を取るかを想定し、その活動に沿った自社サービスによる支援策を提案します。
市場の規模・トレンド
市場全体の売上規模とその成長性、顧客の動向を見て市場予測をします。
業界課題
業界内で共通して直面している課題を特定し、その解決策の仮説を立て、自社のサービスでどのように課題解決策の実行の役に立てるかを想定します。
競合の状況
業界トレンドと課題に対して、ターゲット顧客企業の競合がどのような戦略を取っているか、結果として市場シェアはどうなっているかを把握します。あくまで一例ですが、上気情報をもとにフィリップ・コトラーの「競争地位戦略」に照らし合わせて顧客が次にどのような戦略を取るか、もしくは取るべきかを想定し、自社サービスでどのようにその戦略の支援を行うかを決めます。

出典:株式会社野村総合研究所
公式WebサイトとSNSの確認
顧客組織を理解するためには、公式WebサイトやSNSも重要な情報源となります。
多くの企業公式Webサイトには、そのミッションやビジョンが掲載されています。これらの情報は、企業の基本的な価値観や将来の方向性を示すもので、企業と接点を持つ際には知っておくべき情報です。また、上場企業は決算情報を公開しており、その企業の財務状態や業績、直面している課題、戦略を知ることができます。
またWebサイトに掲載されている組織構造や主要な経営陣に関する情報も、重要な情報です。どのステークホルダーに焦点を当て、どのようにアプローチするべきかを判断する手がかりとすることができます。
LinkedInやXなどのSNSで、ステークホルダーを見つけ出すことができれば、それを通じて接触することもひとつの方法です。
また、最新のニュースやプレスリリースは、企業が最近取り組んでいるプロジェクトや、業界内での動きなどを把握するのに役立ちます。Googleアラートで企業名や関連キーワードを登録しておくと、新しい情報が公開された際に通知を受け取ることができます。
既存の顧客や業界関係者へのインタビュー
顧客組織の理解を深める効果的な方法が、既存の顧客や業界関係者から直接話を聞くことです。
業界イベントやセミナー、ワークショップに参加することで、顧客や業界関係者と直接接触し、情報を引き出す機会が生まれます。こうした場では、業界のトレンドや課題などの貴重な情報を得ることができるでしょう。
また、特定の業界や企業出身の顧問、現職の担当者に直接インタビューを実施すると、個別に顧客企業の情報を獲得できます。詳しい方法は後述しますが、インタビューでは一般には公開されていない情報や組織内の関係性がわかることがあります。直接関係者にアクセスすることが難しい場合には、顧問サービスやスポットコンサルティングなどを活用すると良いでしょう。
顧客の組織図作成
エンタープライズ営業では、顧客の組織図に各ステークホルダーと関係性、攻略ルートをまとめると複雑なエンタープライズ営業の視認性が上がり、効率が増します。これにより、誰がどのような役割を果たしているのか、決裁権を持っている人物は誰か、そしてどのようにして彼らにアプローチすればよいかが一目でわかります。攻略ルートを明確にしておくことで、社内のチーム間で情報を共有しやすくなり、組織営業がしやすくなります。

組織図の作成には、クラウド型のパワーチャートツールを活用すると良いでしょう。クラウド型を活用することで、煩雑な顧客組織図の作成・管理・共有が容易になり、組織的な営業活動の効率を大幅に向上させることが可能です。
商談など接点づくりのチャネル検討
受注を得るためには、ステークホルダーと効果的に接点を作らなければなりません。しかし彼らは多忙であり、無計画にアプローチしても時間を浪費するだけです。それぞれのステークホルダーに対し、接点を作りやすいチャネルを想定し、アプローチすると効率的に商談を獲得できるでしょう。
コミュニケーションにはさまざまな手段がありますが、それぞれのステークホルダーが好む手段を見極めることが重要です。例えば、Eメールでのやり取りを好む人もいれば、イベントでの直接的なコミュニケーションを好む人もいます。SNSやチャットでのコミュニケーションを希望する担当者もいます。
顧問や担当者への個別インタビューヒアリング内容
最後に、特定の業界や企業出身の顧問や現職の担当者へのインタビュー内容を紹介します。インタビューを打診する際は、業界課題を解決するためのヒアリングなど、自社のビジョンに関連して業界の役に立つためのインタビューを目的とすると、快諾してもらいやすいでしょう。
ここでは、特定の業界や企業の情報まで考慮せず、あくまで一般的な内容に留まります。
特定企業のビジネスの目標と戦略、課題
インタビューの際は、以下のポイントに焦点を当てることで、顧客の現在地と目指すべき方向性を明確に把握できます。
短期ビジネス目標
直近で達成しようとしている目標。例えば、売上の増加、市場シェアの拡大など直近数年の売上に関する可能性が高いです。
長期ビジネス目標
5年、10年以上先の長期にわたる企業の目標。より大きな売上目標やミッション実現のための新規事業の確立などが考えられます。
経営者のメッセージ
企業の経営層からの最近の声明や発言を通じて、今後の戦略、企業文化の特徴を探ります。
経営課題
ミッション達成のために掲げている課題など、自社サービスでの貢献度が高い内容を確認します。
組織のステークホルダー、購買プロセス、接点を作りやすいチャネル
顧客組織の攻略ルートを設計するためには、組織のステークホルダーや購買プロセス、接点を作りやすいチャネルの把握が必要です。以下のポイントを抑えて、提案のための情報収集を行いましょう。
ステークホルダーのミッション・担当業務
各ステークホルダーが企業内で果たしている役割と、彼らが達成しようとしている主なミッション、担当業務。ミッションについては業績貢献度が高い部門が決定権を持つことが多いのでできれば数値ミッションがあるといい。
接点を作りやすいチャネル
Eメール、電話、ソーシャルメディア、イベントなど、各ステークホルダーと効果的にコミュニケーションを取るための最適なチャネルや、特定の時間帯や状況下で接触しやすいかどうかの情報も収集します。
企業における購買プロセス
製品やサービスの検討から決定、購入に至るまでのプロセスと時間必要な時間。どの部門が関与しているか、どのようなステップを経るかを明らかにします。
懸念事項
購入プロセスにおいて、ステークホルダーが抱えている主な懸念事項や障壁。これらをどのようにして克服するか、その情報も集められると良いでしょう。
予算と投資の優先順位、投資対効果の算出方法
エンタープライズ営業では、顧客企業の予算規模や投資の優先順位、さらには投資対効果の算出方法を把握することで、提供価値を最大化させることができます。顧問や担当者とのインタビューを通じて、以下について情報を集め、提案の精度を高めましょう。
平均予算金額・予算取得方法
顧客企業が販管費や教育費など部門やプロジェクト毎に持っている予算の金額とその方法。企業により異なります。
資の優先順位
規顧客獲得、コスト削減、社員満足度向上など、課題解決のために具体的に施策と影響させたい指標と優先順位を明らかにします。
選定基準
製品やサービスを選定する際の主な基準。価格、品質、サポート体制、導入の容易さなどがこれに該当します。
投資対効果の算出方法
顧客企業の投資対効果(ROI)の計算方法。短期的な利益だけではなく、長期的な価値をどのように評価しているかも含めて理解します。
過去に採用した製品やサービス
過去導入した製品やサービスの上申プロセスと詳細について確認し、一般的なプロセスとの違いやその対策を検討します。
紹介可能なステークホルダーの確認
組織に詳しい人物はその企業内でも推進力を持っていることがあり、インタビューした方から新たなステークホルダーを紹介をもらうことも可能です。インタビューした内容やインタビューされた方と自社の関係にもよりますが、可能であれば紹介を打診しましょう。
まとめ
顧客組織を理解し、調査することはすぐに結果が出るものではありません。地道な努力と時間を要しますが、この取り組みが上手くいけば、長期的に営業効率を上げ、営業目標を達成する可能性を高めることができます。
顧客組織を理解し、業界課題など先回りした課題解決提案をすることで、顧客にとって価値あるサービスやプロダクトを提供することができます。それが最終的には収益向上につながるのです。長期的な視点を持って顧客組織の理解と調査を行い、エンタープライズ営業を成功させましょう。
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