エンタープライズセールス
エンタープライズ営業におけるターゲット企業の選定方法

エンタープライズ企業は売上が高く、事業の数も多い傾向にあるため、顧客単価や顧客維持率が高くなります。一方で、組織の規模が大きいため検討期間が長く、独自の購買プロセスがあり受注の難易度も高くなりがちです。そのため、エンタープライズ営業の目的やリソースを考慮し、ターゲット企業を絞り込んで営業活動を行わなければなりません。
この記事では、エンタープライズ営業におけるターゲット企業の選定方法について詳しく解説します。
なぜターゲット企業の選定をすべきなのか
エンタープライズ営業では、ターゲット企業を適切に選定することが重要です。その理由と選定することで得られるメリットについて詳しく見ていきます。

エンタープライズ営業の目的の成功率が上がる
目的に合わせたターゲット企業を選定することで、その成功率を高めることが可能です。
例えば、「受注単価の向上」を目的とする場合、過去の受注実績から単価が高い領域を特定し、その領域に属する企業をリスト化して営業活動を展開することで、平均単価の向上が期待できます。
ターゲット企業を目的に沿って選定し、効率的に営業活動を展開することで、目標達成の確率を大幅に向上させることが可能となります。
顧客との長期関係構築に必要
例えば、1社当たりの平均売上をアップするなど、エンタープライズ企業への営業における目的を達成するためには、通常2〜3年の期間が必要です。その間に企業とステークホルダーとの信頼関係を構築し、顧客を維持しながらアップセルやクロスセルを推進していきます。
そのため、あらかじめターゲット企業を選定し、リソースを集中させて計画的にアプローチを行う必要があります。ターゲット企業を明確にすることで、個別のニーズや課題に対してきめ細やかな対応が可能になります。こうして長期的に関係を構築することで、結果的に効率的な営業活動を行うことができるのです。
リソースを最適化できる
ターゲット企業を明確にすることで、売上や商談、顧客アプローチの実績を予測しやすくなります。
特定の業界や企業群にアプローチするため、何社でどれくらいの売上が見込めるか、どれくらいの人的リソースが必要かを把握しやすくなります。リソースを最適化することで、効率的な営業活動が可能となり、無駄を減らしながら最大の成果を上げることができます。
ターゲット企業の選定方法
ターゲット企業の選定はエンタープライズ営業で目標を達成させるためには不可欠な要素となります。ここでは、具体的なターゲット企業の選定方法と手順を紹介します。
目的と目標の設定
エンタープライズ営業の立ち上げ経緯に合わせて、目的を設定します。その後に目的達成の基準となる数値目標を設定します。
例えば、目的が「受注単価の向上」であり、目標を平均年間受注単価3,000万円に設定します。また、年間受注数のKPIを12件とします。これらの目標を達成するために必要なターゲット企業の数を算出してみましょう。
目標の平均年間受注金額を達成するには、受注1件あたり3,000万円の予算を出せる企業がターゲットとなります。その予算を出せるのは、売上が1,000億円以上の企業と仮定します。
過去の実績から受注率が10%であるとすれば、1件の受注を得るためには10件の商談が必要となります。したがって、12件の受注を達成するためには、120件の商談が必要です。過去のデータから1社あたり平均2商談が生まれるとすると、ターゲットとする企業の数は60社となります。

このように、具体的な数値目標とKPIを設定することで、営業活動の指針が明確になり、効率的なターゲット企業の選定が可能となります。
ターゲット企業の定義決めとリストの取得・確定
まず、目的に沿った仮のターゲット企業を設定します。次に、Web上にあるデータベースサービスを利用して、業界ごとの売上ランキングや売上高・社員数などを抽出します。設定した数値目標を達成できる企業の数を確認し、自社がその領域における課題を解決できると判断した場合、ターゲット企業と具体的な企業を確定させます。
リストの取得方法としては、まずコストをかけずに収集できるWebリソースを優先します。目的に応じて、以下のようなデータベースサービスの利用を検討すると良いでしょう。
〈主な企業リスト収集サービス〉
FORCASは、膨大な企業データからターゲット企業のリストアップができるだけでなく、受注しやすい顧客の傾向まで把握できるツールです。ターゲット企業やその業界の情報を短時間で深く理解できるため、営業の準備を効率的に行うことができます。
また、SalesforceのSalesCloudと連携させて、SalesCloudの顧客情報に業界や売上・社員数などの情報を定期で自動一括付与することで、業界ごとの商談受注率を分析したり、セグメント分けがしやすくなることで、休眠顧客へのアプローチを効率化できるようになります。
Sales Markerは、500万もの企業データベースの中から特定の企業をリストアップできるだけでなく、「設定したキーワードを検索した企業」をリアルタイムで可視化することができます。Web検索などの顧客の行動履歴データから、興味関心のあるポテンシャル顧客にアプローチする「インテントセールス」を可能にするツールです。
ニーズが顕在化している企業がわかるため、商談化率の向上などが期待できます。
BIZMAPSは、会員登録をすると月に100件まで無料でリストを取得できる企業検索サービスです。170万社を超える企業が登録されており、業界やエリア、企業規模といった情報で抽出ができるほか、「#今年求人を行なっている企業」「#自社ECサイト保有」などの独自のオリジナルタグで検索することもできます。
顧客の課題の特定・解決策の検討
顧客に適切な提案を行うためには、ターゲット企業の業界や市場での地位、競合状況、個別の事業内容を把握することが重要です。これらの情報を集め、顧客の具体的な課題を特定することで、自社サービスを活用した解決策を見出せます。
このステップを飛ばして営業活動を始めると、課題解決のための提案ではなく、ただの押し売り営業になってしまう可能性があります。ほとんどのサービスは課題を解消するために存在するため、顧客の課題を十分に検討しなければなりません。
例えば、アプリ開発ツールを提供する会社が小売企業をターゲットとした場合、小売企業にアプリ開発ツールの提案を行っても、自社で開発できる能力があれば、そのニーズは発生しません。このように、自社のサービスが顧客の課題を解決できるかどうかを見極めることが重要です。もしターゲット設定後に自社のサービスが適合しないと判明した場合は、ターゲットを変更する必要があります。
企業ごとの分析を行う際は、以下のサービスを活用すると情報収集の質と効率が向上します。
〈主な企業の個別情報収集サービス〉
日本国内の上場企業を対象に、財務諸表や株価指標を簡単に比較・可視化できるため、企業の強みや課題を把握するのに役立ちます。
企業の基本情報や人事情報、IR情報、独自の競合情報や業界レポートなど、あらゆる情報が1ヶ所に集約されるため、効率的に企業の情報を確認することができます。
企業評価と優先順位付け
ターゲット企業を確立させたら、それぞれを評価し、優先順位を付けましょう。評価基準は、自社との接点の強さ、売上高、市場における成長性などが挙げられます。
例えば、エンタープライズ営業の目的が既存顧客の内部拡大である場合、顧客満足度が高く、アップセルやクロスセルを狙える事業やグループ会社の多い顧客を優先します。
このように、目的に応じた評価基準を設定し、ターゲット企業を優先順位付けすることで、営業のリソースを効率的に配分し、成果の最大化を狙うことができるのです。
企業の組織・担当者情報の収集
顧客アプローチを効果的に行うためには、ターゲット企業の組織構造や担当者の情報を詳細に把握することが重要です。
WebやSNS、外部サービスを活用して、自社サービスの検討部門や反対の可能性がある部門、該当部門長の情報を収集します。
〈主な情報収集サービス〉
LinkedInはビジネス向けのSNSで、ビジネスネットワークを広げるのに役立ちます。ターゲット企業の担当者の特定や、情報収集にも活用することができます。
日本経済新聞社が提供する情報サービスで、企業情報やニュース、経済データ、過去の新聞記事、人事情報を網羅しています。企業の役員や幹部の人事異動も確認可能で、ビジネスリサーチや市場分析に役立ちます。
集めた情報は、パワーチャートツールなどを活用して、担当者の特性やニーズ、コンタクトを取るための情報を整理し、攻略ルートまでまとめておくと良いでしょう。
→エンタープライズ企業を推進させるパワーチャート「Path Light」とは
顧客アプローチ
ターゲット企業や担当者の業界、役職、活用しているSNSなどを考慮し、個別にアプローチする方法を決定します。この際、各業界や役職ごとに効果的なアプローチチャネルを明確にしておくと良いでしょう。ここでは、さまざまなアプローチチャネルの例を紹介します。
〈アプローチチャネル〉
・紹介(自社社員、銀行、投資家、顧客、協業企業、顧問など)
・マッチングサービス
・手紙
・問い合わせフォーム
・電話・メール
・SNS
・セミナー・イベント
・メールマーケティング
KPIの評価と修正
ターゲット企業からの直接フィードバックやKPIの振り返りを行い、ターゲット企業の選定や課題・解決策の設定が妥当かを検討します。例えば、商談数や成約率などのKPIをチェックし、計画が実際の結果と一致しているかを確認を行います。
検討結果を基に、ターゲット企業や市場領域、KPI、提案内容などを修正しましょう。こうして評価と修正を繰り返すことで、営業活動を継続的に改善し、目標達成に近づくことができます。
まとめ
エンタープライズ企業は日本の企業全体の0.3%と少数ですが、約11,000社と数としては多く存在します。そのため、エンタープライズ営業の目的や顧客の課題、提供するサービスに合わせてターゲット企業を選定し、効率的に営業活動を展開するとよいでしょう。こうした活動をすることで、目標達成確率の向上を期待することができます。
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